All-American Boy The Beckies We Deliver: The Lost Band Of The CBGB Era (1974-1979) The Plimsouls... Plus Twice Nightly
イアン・ハンターのソロ2作目。1976年作。落ち着いた聞かせる曲が並びロックンローラーの姿を期待し過ぎると肩透かしをくらうかもしれませんね。#1「Letter To Brittania From The Union Jack」。アメリカ活動期のアルバムらしいですが客観視したイギリスを歌う。メロディはビリー・ジョエルやエルトン・ジョンを彷彿とさせる。哀愁ある美しさが逸品です。7分超えの#2「All American Alien Boy」はモロにザ・バンドな曲。通してサックス(デヴィッド・サンボーン)を効かせまくり、間奏部のベースソロの素晴らしさ(天才ベーシスト:ジャコ・パストリアスは全編で客演)。女性コーラスありのまさに大人のロック#だ。#3「Irene Wilde」が名曲。モット時代の「Saturday Gigs」を彷彿とさせる美しいバラード。それにしてもイアン・ハンターの声良いわー。#4「Restless Youth」はミック・ラルフス作ぽいロック#なのでモット時代を感じさせるがやはり勢い自体は押さえられた感あり。あくまでもソロっぽいって事で悪い意味ではなく。#5「Rape」のソウルフルなイントロと言ったら・・・聖歌隊コーラスも◎。ビリージョエル「Everybody Has a Dream」が表ならこの「Rape」は裏だね。歌詞的にも。#6「You Nearly Did Me In」はハイライト#と言えます。メロディは個人的に中期イーグルスのランディ・マイズナーが思い浮かんだ。この素晴らしいメロディに艶やかなサックスと、さらにはクイーンが聖歌隊コーラスとして加わって厚みを増してます。#7「Apathy 83」はこのアルバムの中ではポップな#。イアンのボブ・ディランじみたvo.が堪能出来る。曲調もディランぽい。歌詞の内容含めコレはディランの元に行ったミック・ロンソンへの当て付けか?ラストを飾る#8「God (Take I)」。僕の一番好きなイアンの歌声と歌い回し。淡々としながらもvo.の起伏が素晴らしい!曲調としてはこれもディランぽい。ホント好きな曲だ。以上全8曲。先述した通り盟友ミック・ロンソンは去りロックンロール盤とは言えない落ち着きぶりですがロックな熱は感じられるしSSWとしてのメロディはどれも素晴らしいので是非一聴して欲しいです。 ザ・ベッキーズ唯一の1st(1976年)。バロックサウンドで一世を風靡したレフトバンクのマイケル・ブラウンがストーリーズの後に結成したパワーポップバンドです。#1「Right By My Side (Etude)」。これはじわじわ来る名曲。パワーポップのスタイルっていろいろありますが一番厄介なのがこのじわじわ系。ハマったら抜け出せない。ニックロウとかその界隈の雰囲気に近いですね。B級ですがシークレッツとかゲイリー・チャールソンも同類だ。#2「River Bayou」もラズベリーズのような歌い上げバラードの佳曲。レフトバンクとは掛け離れてますがこの辺の美メロへのアプローチはやはりそういうことですね。ロック度上げて#3「Midnight And You」。この辺はシューズにも通じるパワーポップとして聴けます。#4「Fran」は王道ソフトロック路線ながらアルバムの雰囲気は崩さない。マイケルブラウンならきっとエルトンジョン並みの壮大なピアノポップに仕上る事も可能だったでしょう。#5「Other Side Of Town」もエレピが軽快なポップ#。これは今の時代でも色褪せることなくその界隈では話題に上がりますね。この単調さが頭の中を支配する。#6「Song Called Love」もイントロでエレピを使いソフト路線と思いきやスピードを上げる。途中に哀愁さと軽快さが混じる。まだニューウェーヴ前夜だがスクィーズにも通じるような感じ。#7「Can't Be Alone」はハイライト#と言える哀愁パワーポップ。バックのピアノがやっぱ効いてるね。流れるようなメロディラインが最高にカッコ良い!続く#8「River Song」も◎。ラフィン・ドッグのような走り抜けるような感じが気持ちいい。ピアノも駆ける。#9「On The Morning That She Came」がまたまた名曲。「River Bayou」はvo.をフューチャーしたバラードでしたが、こっちはバンドサウンドの中で極上のメロディが聴けます。ビルボードヒットしてもおかしくないのになあ。#10「One Of These Days」も大好きな曲。すでにパワーポップではないですが甘いだけでなく力強いフックとコーラス/ハーモニーが加わり素晴らしい曲に仕上がってます。#11「Run Jenny Run」はジグソーやパイロットのようなポップロックで締め。60sのバンドのその後を追っていくと結構パワーポップ系のバンドをやっていたりするから面白い。メロディを書く実力あるもんだからB級でも内容はすこぶる良いのだ。コレはその代表例と言って良い。ベッキーズ、オススメです。 ザ・マイアミス。70sパワーポップバンド。アルバムのリリースはない。素性は不明だがCBGBに顔を出していることからもライブで揉まれたバンドなんだってのは想像つく。実際#15〜#23のライブはスタジオ音源よりもパンクよりでとっても良い。しかし!このバンドはポップバンドって言ったほうがしっくりきます。#1「We Deliver」からバナナ・スプリッツのテーマソングのごとくバブルガムで跳ねたポップソング。別バージョン#12「We Deliver (Alternate Version)」は疾走感が増してヴァイブレーターズぽくなってカッコイイね!#2「Cry Baby」は初期ビーチボーイズなサーフポップなんだけど、跳ねりが聴いてさらにポップな仕上がり。続くミディアム#3「I Want A Girlfriend」(#13「I Want A Girlfriend (Alternate Version/Demo)」)も王道のアメリカン・ポップス。メロディ/コーラス/ハーモニー含めやはりビーチボーイズの影響ありあり。#4「Dancin' Together」。ホンキートンクなピアノにストーンズなりフ。まさにアメリカな音。追っかけコーラスがゴキゲンさを醸し出す。#5「Just Too Many People」も前曲を引きずっての感じだけど、これはスポンジトーンズやプリーザーズと続けて聞けばミディアムなパワーポップと言って良いでしょう!いいよね?#6「Wang It」は小品バブルガムポップ。当時のカートゥーン番組の挿入歌に使われてそうな雰囲気。ライブではフランク・シナトラの#23「That's Life」をカヴァーしてますが、その影響がうかがえるのが#7「Let There Be Pain」。ロックバンドとは思えぬ・・でも後にシド・ヴィシャスも「My Way」を歌うわけだから先んじてたとも言える。#8「Another Place, Another Time」はビートルズや初期ザ・フーの影響もありつつのパワーポップ。パンク・ポップ好きにはポップ過ぎるかもね。代表曲候補の1曲。別バージョン#14「Another Place, Another Time (Alternate Version)」ではピアノとギターが全面に出てよりアクティヴな曲になってる。前者がビートルズなら後者はザ・フーな感じが強めかな。#9「We Need A Bigger Navy」はピート・タウンゼントな曲。ザ・フーが好きならビビっとくるでしょう。大好き。続くも#10「Fight Team Fight」もザ・フーなポップ・ロック#。マイベスト!連弾のピアノがまた効いてる。#11「She Sure Works Hard (At Lovin' Me) (Demo)」はセンスあるポップ#。今で言えばスローンを感じる佳曲。デモトラックしかないのがもったいない。先述の通り#15からはライブ音源。こんなポップな曲群でラモーンズ等と対等に出来たのか?と思いましたが、めっちゃライブ巧者。パンクでポップで歌もうまい。ちょっとファンズのような雰囲気もあって最高です。 元ナーヴス、ピーターケース率いるザ・プリムソウルズ1st(1981年)。プリムソウルズのこの1stは10年くらい前までは入手困難だったので「A Million Miles Away」を収録した2nd『Everywhere At Once』から聴きました。2ndを愛聴しさらに評価の高い今作に恋焦がれ、ついに聴いた時の感想は・・「ホントだ2ndよりもイイっ!」。#1「Lost Time」。1曲目がこんな正統派ロック#。ホーンも取り入れたりと時代背景も感じつつ、でもピーターケースの声が乗っかるとナーヴスから引き続いているようで胸が熱くなる。疾走感なくともグッドなオープニングだね。#2「Now」。プリムソウルズで1曲あげろと言われればこの曲か?ビートリッシュでもうホント大好きな名曲!必聴の3分間!メランコリックなイントロから始める#3「In This Town」も正統派ロックのマナーに沿った曲。ソウルフルな声が活きるメロディライン。中盤の大サビ?でふわっとしたフックがイイ。ポールコリンズのザ・ビートが疾走感を請け負えば、プリムソウルズはタテノリのパワーポップを請け負う。その代表曲で言えば#4「Zero Hour」。パワーポップにしては耐久性抜群な曲で飽きが来ない佳曲。大好き。ボートラではフルアルバム前のEP収録と思われる#15「Zero Hour (Original Single Version)」。少しテンポダウン、粗々しさが増してさらにカッコイイ!#5「Women」はイージービーツ「Women (Make You Feel Alright)」のカヴァー。これがめっちゃパンクロックに仕上げててさすがの出来。ライブではキンクス「Come On Now」も演ってますがこっちも我がモノなパンクロックで最高。なんといっても声が最高だからな。#6「Hush, Hush」(#20「Hush, Hush (Live)」)はライブ映えするパワーポップ。20/20と対バンして欲しい感じだね。#7「I Want What You Got」は気だるいアメリカンロック。後期イーグルスとジョンレノンを合わせたような感じ。#8「Nickels And Dimes」のエモーショナルなギターリフはかなり今風でイケてる(笑)。始まっちゃえばいつものプリムソウルズなんだけど。ブリティッシュビートの影響下にある#9「I Want You Back」。ピーターケースのルーツがうかがい知れる。彼等の良さはこの50s/60sを隠さず伝承しているところだ。それは続くウィルソン・ピケットの名カヴァー#10「Mini-Skirt Minnie」でもあきらか◎◎。本編ラストは最高なパワーポップで締めてくれる。#11「Everyday Things」。すでにブレイカウェイズの時にポールコリンズと発表してますが、よりスタイリッシュな仕上がり。パワーポップの代名詞と言ってもよいですね!マイベストは「Now」と迷う・・。本編は11曲。ココからは1980年『Zero Hour_EP』5曲(#14,15,16,17,18)含むボートラでこれも聞き逃せない。#12「Memory」。大好きな曲。プリムソウルズ節とも言えるミディアムなパワーポップで地味に良いメロディが印象的。本編入れてくれよ。#13「Dizzy Miss Lizzy」はラリーウィリアムズのライブ・カヴァー。当然良い出来。「Now」系のポップ・チューン#14「Great Big World」も大好き。さらに#16「Hypnotized」もパワーポップど真ん中で◎。2曲とも本編入れろよと。で、#17「How Long Will It Take?」。コレは・・その後2ndに収録される大好きな名パワーポップなんだけど、このEPのVer.聞いたら2ndの整い過ぎたアレンジが残念に思えるほどカッコイイ!(いや2ndのも十分良いのですが)。オーティスレディングの#18「I Can't Turn You Loose」。このアゲ上手なライブ観てー!#19「When You Find Out」はナーヴス時代の名パワーポップのインスト。現在は再発されてCDでも比較的入手しやすくなってなってるので是非とも手にして欲しい。でも再発はボートラがないので出来れば1992年盤のコレがゲットできるとイイですね。オススメ! ハーマンズ・ハーミッツのVo.ピーターヌーンが結成したパワーポップバンド、トレンブラーズ唯一のアルバム(1980年)。職業ライターの良質#をピーターヌーンが歌うといったローティーン向けのポップグループだったハーマンズ・ハーミッツとは異なり、ピーターヌーン自身も作曲に参加し、その往年のハイトーン・ヴォイスで歌い上げるロックバンド。タイトなロック#1「You Can't Do That」。パンク/ニューウェーヴに触発されて結成したとされている通り、まさに直球な#。ザ・エーズなんかにも近い感じ。何と言ってもピーターヌーンの声が冴えてるね。さすが!#2「Steady Eddy」。ただでさえポップなメロディにエレピとハンドクラップが幅をきかせてて、さらにポップ度上げてる。カーズとルビナーズの融合って感じ?#3「She Was Something Else」。最高なミドルチューン。得意のハイトーンを抑えた歌い出しだけどメロディの起伏と共に復活。それこそハーマンズ・ハーミッツ時代を思わせるメロディが素晴らしい、大好き。マイベスト#4「I'll Be Taking Her Out Tonight」。これは隠れた名パワーポップ!!曲に対しての感情の高ぶりはイノセンツの「Sooner Or Later」を聴いた時に近いな。#5「Little Lover」。ハーマンズ・ハーミッツ時代は何処へやらのブギーなロックンロール。バディホリーのような歌い方もギャップがあってイイね。#6「I Screamed Anne」。NYパンクに属しながらもパワーポップな音を鳴らしてたタフ・ダーツを思い出した。#7「Wouldn't I」は大好きなゴーゴーズ系の流れるようなパンク/パワーポップ。この手の曲に彼の声は最強だね!#8「Dad Said」の8ビートのパンクロック。ギターリフがカッケー。このアルバムには20/20のスティーヴ・アレンやフィル・セイモアも参加しているようですが、#9「Maybe I'll Stay」はピーター・ヌーンのパワーポップ愛を感じさせる曲のひとつ。#10「Green Shirt」は初期コステロのカヴァー。コステロとしては平坦なメロディが続く曲でカヴァー選曲が疑問ですが、原曲よりもパンクロックに仕上げる。前曲のお陰かラスト#11「Don't Say It」のメロディが際立った。勝手だけどルビナーズ「Hurts Too Much」のギターリフを感じてます、、曲全体としては渋さもあるロック#。以上全11曲。このバンドとして1枚しかアルバムを残せなかったのは、60sのアイドルな栄光にファンがついてきてしまって、本人の目指した音楽にはついてきてくれかったからなのでしょうか?そうであれば何とも切なさが残りますね。。とにかくパワーポップ作品としては良盤で最高。オススメ。